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イタリアンとの相性抜群、爽やかな香りに包まれたい!春菊とサーモンのカリカリクミンパスタ #旬とスパイス 【一周年特別号】

あるときはしびれるようにビリリと強烈で、あるときは果物のように甘くフレッシュで、またあるときは爽やかな軽さをもたせてくれる・・・。スパイスやハーブをほんのひと振りするだけで、一皿は魔法のようにがらりと変わります。

甘みと栄養素をたっぷり含んだ旬野菜と、それをさまざまな表情に変えてくれるスパイス&ハーブのかけ合わせをぜひ堪能してほしい。そんな想いからはじめた#旬とスパイス 」シリーズ。

このシリーズでは、クリエイターの方と「旬の新しいおいしさ」を発見していきます。レシピと文章は
noteクリエイターであり料理家の今井真実さん。作る人の気持ちに寄り添うレシピ開発を行っている今井さんに、家庭で無理せず取り入れられるのに華やかなおいしさのレシピを作っていただきました。

今回は【一周年特別号】として、記事の最後に今井真実さんにこの一年の #旬とスパイス を振り返ったコメントをいただきました。ぜひ最後までご覧ください!

先日、親戚から採れたての春菊をいただきました。
1年中スーパーには並んでいるものの、春菊の旬はちょうど今頃から始まります。柔らかな葉が瑞々しく、独特の香りが鼻をくすぐり、思わず顔が綻びました。

そんな私、実は子供の頃は春菊が苦手で苦手で…。私の出身の神戸では「春菊」のことを「菊菜」と呼んでいました。正確にいうと、この二つは品種も少し違うんだそう。

菊菜は家で作るお鍋には必ず入っていたので、きっと家族の誰かが好きだったのでしょう。いつも自分のとんすいには入らないように丁寧によけてよそっていました。

ある日、家族でイタリアンで食事をしていた時に出てきたのが、「菊菜のジェノベーゼパスタ」でした。一瞬身構えるも、美味しそうな緑色とにんにくの香り。恐る恐る一口食べると「…!」


オリーブオイルと菊菜が合わさった時の鮮烈な香りに驚きました。何よりあれだけ苦手だった菊菜の香りが好ましく感じられました。そのパスタにはスパイスがかかっていたのです。菊菜の青い匂いを和らげ、食欲を刺激し、カリカリと歯触りもよく…。


子供の頃の私にはそのスパイスが何だったかわかるはずもありませんでした。しかし、ずっと心と舌の記憶に残り、その時から私は菊菜(≒春菊)が大好きになりました。


今回その思い出を辿って出来たのがこのパスタです。

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使うスパイスは「クミンシード」。カレーのイメージがあるクミンですが、ほろ苦さやしっかりとした強い香りが春菊に負けません。焦がさないように先に乾煎りすることで、カリカリとした食感になり、パスタのアクセントになります。

旨みの強いスモークサーモンを合わせると、これがもう絶品。
クミンを少量入れるだけでパッと個性的なメニューに仕上がります。

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【材料】 (作りやすい分量)


クミンシード 小さじ1/8 (2つまみ程度)

スモークサーモン 30g
春菊 1つかみ(30g)

にんにく 1かけ
唐辛子 1本
オリーブオイル 大さじ1と1/2


パスタ 100g(スパゲッティ)
水 1リットル
塩 小さじ1/2

まずクミンシードを乾煎りします。フライパンに入れて、弱火で2分ほど熱します。香りが立ってきたら、小皿に移しましょう。

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同じフライパンにオリーブオイル、みじん切りにしたにんにくを入れ、弱火で熱します。

細かい泡が出て、しゅわしゅわしてきたら、火を止めましょう。

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この間にお鍋にお湯を沸かします。日常のパスタですので片手鍋で十分です。1リットル水を張り、小さじ1/2のお塩を入れてください。

お湯が沸いたら、この様に縦にパスタを入れ、抑えるようにして手を離すと、上手に全ての麺が鍋に収まります。

表示時間より2分早くタイマーをかけます。水面が沸々とするくらいの火加減で茹でましょう。時々、くっつかないように混ぜて下さい。

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フライパンに、手でちぎったスモークサーモン、半分に切って種を取った唐辛子1本を入れます。


唐辛子の辛みをマイルドにし、スモークサーモンをボソボソにしないため、この時点ではフライパンに火を付けなくて大丈夫です。

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春菊を切ります。基本的にざく切りで大丈夫ですが、硬そうな茎があれば、少し短めに切りましょう。

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そろそろ、パスタが茹で上がる頃です。
フライパンを中火に熱し、パスタの茹で汁を4杯入れて、ヘラなどでよく混ぜます。

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茹で上がったパスタを入れて、よくよく和えていきます。スープをパスタに吸わせるようにしましょう。

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火を止めて、春菊を入れます。
この時、茹で汁大さじ1をもう一度入れます。春菊がパスタに絡みやすくなります。


味見して塩けが大丈夫ならこのまま、しょっぱかったらお湯、足りなかったらお塩を足してください。

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器によそい、乾煎りしたクミンシードをのせて完成です。

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パスタが伸びないうちに召し上がれ!

クミンシードのカリカリぷちぷちが楽しく、口の中は豊かな香りに溢れます。こんなにパスタと合うなんて!と嬉しくなります。



オイルベースなのであっさりしつつも、スモークサーモンが芳ばしく旨味もしっかり。他の具材に負けません。

春菊はたっぷり入れますが、火を通すと小さくなります。余熱で火を入れるのは、フレッシュな食感を活かし、色を綺麗に保ちたいため。春菊自体、ハーブの様な存在なのでオリーブオイルとマッチします。

春菊は薬膳でも重宝され、風邪予防や胃腸を整える食べ物とされているそうです。まさに今の季節に嬉しいお野菜ですね。

今回のレシピと文章:今井真実(料理家)、撮影:今井裕治

#旬とスパイス 」一周年 コメント

#旬とスパイス 」が始まって、まもなく一年を迎えます。今回はそれを記念して、この一年で特に印象的だったレシピや、レシピ制作の裏話などを今井さんに伺ってみました。

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今井真実さん
「これだけで、こんなに美味しい!」と小さな喜びを感じられ、作った人が楽しく嬉しくなる新しい家庭料理を提案。
キャンプで燻製をしたり塊肉を焼くのが一番のストレス解消法。料理教室を10年以上開催してきたが、現在はオンラインを中心にレッスンを行っている。神戸市生まれ。

——まずは、旬とスパイスが一年と聞いて、率直な感想を伺ってもいいでしょうか?

今井さん:
なんだかすごくあっという間だったなと思いました。不思議とこの「#旬とスパイス」は、毎月苦しまずにレシピがすっと出てくるような感覚で。元々スパイスが好きなので、自分でもワクワクしながら挑んできました。

これまで自分がスパイス料理を作る時って、スパイスを何種類か組み合わせていたんです。でもこの「#旬とスパイス」は、ひとつのスパイスでどこまでできるかっていうのを自分の中の課題にしていて。旬の素材の味と、スパイスのストレートにくる香りや味のかけ合わせが、私にとってもすごく勉強になりました。

——これまでの「#旬とスパイス」で、今井さんの中で特に思い出深い回はどれでしょうか?

今井さん:
新玉ねぎの胡椒塩漬けはたくさんの方が作ってくださったので嬉しかったです。

初回の大根と花椒の香り漬けから、意外とみなさんに作っていただけて、びっくりして。新玉ねぎの胡椒塩漬けは、それを超えて想像以上の方が反応してくださったので、とても印象に残っています。

——新玉ねぎの胡椒塩漬けを作るのに、初めてホールのブラックペッパーを買ったという嬉しい声もいただきましたね。

今井さん:
そうなんです。ああ、よかった…って。 この量のブラックペッパーを使うのが、みなさんどう思われるかな、受け入れてもらえるかなあ…ってどきどきしていたので。

——あまり悩まずレシピを作っていると話されていましたが、実はまとめるのに苦労した回はありますか?

今井さん:
フライドゴーヤは、結構悩みました。私自身はゴーヤが大好きなんですけど、お子様だったり、苦みがあまり得意じゃない方まで美味しく食べていただくにはどうすればいいかなって考えて。一番数多く試作して、最終的に家で子供達が一番食いついたのがあのレシピだったんです。

あと、最後の微調整が大変だったものでいうと、 新玉ねぎの胡椒塩漬けです。材料が「新玉ねぎ、ブラックペッパー、塩、酢」のみというシンプルなもので、新玉ねぎもブラックペッパーもどちらも味にパンチがあるので、調味料の割合にすごく悩んで。レシピを作っている時は、夜眠れなかったです(笑)。

——そうだったんですか!? 

今井さん:
はい。朝4時にぱちっと目が覚めて、やっぱりお塩の量を変えようかな…甘酢に変えたほうがいいのかな…って飛び起きて調整したり。そうですね、あっ新玉ねぎ結構大変やったかも(笑)。

——でもこの配合はたくさん悩まれただけあって「決定版」という感じがします。エスビー食品noteチームもみんなハマって家で作っていました。

今井さん:
そうなんです。なのでみなさんにたくさん作っていただいて、ああよかった…報われたなって思いました。

——今井さんが悩まれたんじゃないかなって回でいうと、“ゆめおいしい”とTwitterで話題にしていただいた桃ディルはどうでしょうか? 

テーマの旬食材は今井さんからご提案いただく回もあれば、一緒にご相談して決める回もありますが、「桃はどうでしょう?」とお話ししたとき、いつもはいいですね!と即答していただけるところ、少し間があったような気がしていて……。あのとき今井さんがどう思われていたのかなって、気がかりでした。

今井さん:
ふふふ。私、毎日スーパーに行っていて。だいたいこの食材は売ってるからいつでも買えるっていうのが頭に入っているんです。

だからいつもご相談いただいた時、頭の中でいついつ買ってきて試作をして、とそういうスケジュールをざっと立てるんですけど、桃に関しては、時期的にまだスーパーで見かけなかったので、いつ撮影できるんやろうって。すみません、単にスケジュールの問題でした、桃自体は大好きなんです(笑)。

——いつも今井さんには旬の食材が出回るより早めにご相談するので、時折そのご苦労をかけていて……。

今井さん:
ちょうどあの相談いただいた翌週から、スーパーに並び始めたんですよね。「桃発見しました!大丈夫です!!」ってご連絡して。

レシピ公開後、フレッシュハーブのディルもなかなか手に入らないという声をいただいて、でもそのディルの特別感と、夏に出回って時期を過ぎると幻のように姿を消す桃の特別感と、どちらも楽しんでいただけたんだなって思います。スーパーでそのふたつを見つけたら思わず「今がチャンス!」ってみなさんが買って作ってくださったので。

実は「桃チャービル」や「桃ピンクペッパー」も考えていました。桃ピンクペッパーは結構良かったんですけど、結果、桃ディルにしてよかったなと思います。

——最後に、今井さんが「#旬とスパイス」を通して伝えたいことはありますか?

今井さん:
スパイスって聞くと、やっぱりみなさん最初に「カレー」を思い浮かべるんですよね。そこがもったいないなとずっと思っていて。

お鍋に七味をかけたり、うなぎに山椒をかけるような感覚で、もっと普段のお料理にトッピングできたら、新しい味に出会えるし、お料理の幅が広がります。

いつもの肉じゃがにちょっとクミンパウダーを振ってみたら、あれ?意外と美味しいな思ったりとか、スパイス&ハーブを持っていると、そんな楽しいことがたくさんあるんですよね。だから、スパイスカレーを作るために揃えたスパイスも、眠らせずにキッチンの見える場所に置いて、日常に取り入れていただきたいです。

ちょこっと入れるだけで味わいががらっと変わったり、いろんな素材にマッチしたり、そんな驚きをぜひ体験してほしいなと思います。(聞き手・文:エスビー食品note)

〈お知らせ💡〉
私たちエスビー食品がこれまでnoteに投稿してきた全レシピをスパイス別、ハーブ別にまとめてみました。ぜひお手持ちのスパイスやハーブでチェックしてみてくださいね▼
「スパイス&ハーブレシピまとめ」
〈知ってる?スパイスとハーブのこと〉
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