夏の陽気に誘われて。ジャマイカ料理・ジャークチキンを堪能する簡単アレンジレシピ
皆さんは、「ジャークチキン」をご存じでしょうか?
大きな鶏肉に数種類のスパイスを練り合わせじっくりと焼き上げる、カリブ海の島国・ジャマイカの郷土料理です。スパイシーな風味がクセになる味わいで、ジャマイカの国民食と言っても過言ではないかもしれません。
スパイスの効いたパワフルな肉料理は、暑い夏のBBQにもうってつけです。ということで、今回はよりおいしくジャークチキンを楽しむために、日本でも数少ないジャマイカ料理店「GOOD WOOD TERRACE」の店長・後藤 誠さんにアレンジレシピを教えていただきました。
街を歩けばスパイスの香り。ひと口でとりこになったジャークチキンとの出会い
レシピを教えてもらう前に、店長の後藤さんがお店やジャマイカのことについて簡単に教えてくださいました。
——後藤さんとジャマイカ料理の出会いを教えてください。
後藤さん:実は、ここ「GOOD WOOD TERRACE」で食べたジャークチキンが、僕がジャマイカ料理に心を奪われたきっかけでした。当時、このお店は義兄がオーナーを務めていて、ある日僕はお客さんとして来店したんです。この時始めて食べたジャークチキンのスパイシーでパワフルな味わいのとりこになり、それからジャマイカ料理の魅力にどんどんのめり込んでいきました。そして気付いたら、義兄から引き継いで店長になっていたんです(笑)。
——実際にジャマイカにも行かれたことがあるんですよね。現地はいかがでしたか?
後藤さん:本場ジャマイカには「ジャークチキンロード」と呼ばれる、道の両脇にずらっとジャークチキンのお店が建ち並ぶ通りがあるんです。初めてジャマイカという異国の地に訪れたことや、街中から香るスパイスの香りに興奮したのを覚えています。
——街全体に香りがするほど、ジャマイカはスパイスが身近にあるんですね。
後藤さん:あと、路肩にお店を出す人や行き交う人々が、路上にスピーカーを置いて大音量で音楽を流しているのにも驚きました。そんな陽気な環境にも、魅了されましたね。
——そういえば、後藤さんはレゲエマニアでもあると聞きました!
後藤さん:子どもの頃から、レゲエが大好きだったんです。今回は、レシピと一緒にジャマイカ気分が味わえる曲もご紹介しますので、ぜひ料理中や食事中に流してみてください。
——わあ、楽しみです! レシピと言えば、ジャマイカではお店によってジャークチキンの味が違うんでしょうか。
後藤さん:お店ごとに味付けはさまざまです。さらに一般的な鶏もも肉だけじゃなく、使っている部位まで異なるんです。なので、研究をするために1日5食はジャークチキンを食べていましたね(笑)。さまざまな味に出会ったことで「GOOD WOOD TERRACE」の味が確立されたんだと思います。
——なるほど。実は、エスビー食品でもまぶして焼くだけで簡単にジャークチキンが作れる「SPICE&HERBシーズニング BBQジャークチキン」を販売しているんです。
後藤さん:せっかくなので今回は、①シーズニングをベースにアレンジを加えたレシピと、②スパイスを自分でミックスして作る「GOOD WOOD TERRACE」流のジャークチキンレシピの2案をご紹介します。
——どんなジャークチキンができるのか楽しみです。では、早速レシピを教えてください!
家にある調味料を足すだけ! シーズニングベースの超簡単レシピ
後藤さん:レシピと言っても、実はジャークチキンの作り方はとても簡単。鶏肉にスパイスをミックスしたものを付けてよく焼くだけなんです。だからこそ、スパイスの選び方やひと工夫でおいしさが格段に変わってきます。
【1】シーズニングを鶏肉にまぶす
まずはシーズニングを鶏肉全体にまぶしていきます。途中で鶏肉をひっくり返して皮・身の両面全体に振りかけることをお忘れなく。先にフォークで鶏肉に穴を開けておくと、味がより中まで浸透するそうです。
【2】シーズニングに追加するペーストを作る
次に、醤油・ケチャップ・チューブのにんにくを混ぜ合わせて、ペーストを作ります。
後藤さん:シーズニングそのものの味を活かすために、あえてスパイスは足しません。アレンジとして、どのご家庭にもある醤油とケチャップを混ぜることで、ジャークチキンの味を引き立てるコクと酸味をプラスします。
【3】ペーストをシーズニングの上から塗り足していく
粉のシーズニングとペーストを合わせることで、味が鶏肉にしっかりと染み込み、シーズニングの風味もより感じられるようになります。
また、焼いたときにシーズニングが鶏肉の中に浸透するスピードも速くなるので、パッと料理したい方もこの手順は必ず踏んだ方がいいのだとか。
【4】中火で5分ほど焼く
サラダ油を適量引き、身の面を下にして中火で5分ほど焼いていきます。今回はフライパンで調理していますが、炭火で焼ける環境がある方は、焦げ目が上手くついてくれてサラダ油も不要なので、ぜひそちらを使用してください。
【5】皮面を表にひっくり返して、焼く
身の面にしっかりと焦げ目がついてきたら、ひっくり返しましょう。2〜3分火を通したら、中火から弱火に変え、じっくりと焼いてきます。
【6】キッチンペーパーで油を拭き取る
皮面からは、鶏肉の油が出てきます。フライパンでジャークチキンを焼く時は、余分な油をキッチンペーパーでこまめに拭き取ることが重要です。
後藤さん:油を拭き取らないと、パリッとした食感にならず、べちゃっとしたジャークチキンになってしまうんです。なので、この工程は一番大事かもしれませんね。
【7】火を止めて、5分ほど蒸らす。
鶏肉の中までしっかりと火が通るように、火を止めて5分ほど蒸らします。ちなみに本場では、ドラム缶を改造した「ジャークパン」と呼ばれるもので焼いて蒸します。
【8】蓋を取り、さらに身を下にして弱火で2〜3分焼く
最後にもう一度、火を通していきます。拭き取る余分な油が出なくなり、つきすぎかな?と思うくらい焦げ目がつくぐらいが目安。
後藤さん:完成です。10~15分もあれば出来上がるので、とても簡単ですよね!
ソース化して漬け込む! スパイスが芳醇に香るアレンジレシピ
続いては、もう少し手間ひまをかけてジャークチキンを楽しみたい方に向けたレシピ。工程は、①のレシピとほぼ同じなので、ポイントを絞って紹介していきます。
【1】6種類のスパイスと塩を混ぜて、オリジナルシーズニングを作る
「GOOD WOOD TERRACE」流のオリジナルシーズニングには、6種類のスパイスを使用。ジャークチキンのスパイシーな香りや味は、特に「オールスパイス」からくるものなのだとか。より刺激や風味を求めるなら、少し多めに入れてみてもいいかもしれません。
真空パックを使えば、簡単にしっかりと混ざります。お子さんと一緒にチャレンジしてみるのも楽しいかもしれませんね!
【2】ペーストシーズニングを作る
ケチャップ、お酢、チューブのにんにく、そしてネギの青い部分を使います。
ネギを軽く刻んだら、全ての材料をミキサーへ投入。出来上がった赤いソースがこちら。
【3】シーズニングとペーストを鶏肉全体にまぶす
作ったシーズニングとペーストを鶏肉全体に塗りつけていきます。シーズニングをソース化することで、味が全体に染み渡っていきます。また、ビニール手袋などを使って揉み込んであげるとより味が浸透します。
【4】レシピ①と同じ手順でしっかりと焼く
ここからはレシピ①と同様に、火加減と余分な油を意識しながらじっくりと焼いていきましょう。ペーストに混ぜたネギがきれいな焦げ目をつけてくれるので、見た目も食感も楽しい本格的なジャークチキンが出来上がります。
簡単手順で完成! 夏にふさわしいスパイシーなジャークチキン
ジャークチキンが完成したら、サラダなどを添えてお好みで盛り付けを。 ちなみに、ケチャップやホットソースと一緒に食べるのが、ジャマイカ流だそうです。
ひと口食べてみると、口いっぱいにスパイスの香りが広がり、鼻に抜けていく感覚がクセになるジャークチキン。とても簡単で時間もかからないので、ぜひ一度試してみてください!
レシピ・監修:GOOD WOOD TERRACE / 写真:宮本陽平
番外編:後藤さんが選ぶ、ジャークチキンにマッチするレゲエ3選
後藤さん:ジャマイカの音楽といえば、レゲエ。どんな音楽か簡単に言うと、難しいことを考えずに聴きたい、ピースフルで陽気な音楽ですね。ひとりの時はもちろん、友達や恋人と過ごすひとときにもレゲエを流して、ジャマイカの雰囲気を体験してみてください。
①Bob Marley - One Love
後藤さん:世界中で愛される、レゲエミュージックの象徴! ボブ・マーリーの代表的な曲でもあるので、聴いたことがある方も多いはず。ゆったりと落ち着いた気分になれる、ピースな一曲です。
②Chronixx - Smile Jamaica
後藤さん:ジャマイカを女性に見立て、ジャマイカの魅力が歌詞に落とし込まれている僕のお気に入りの曲。ゆったりとした歌声に、ジャマイカで過ごした休日を思い出します。歌詞も素敵なので、気になったら和訳も調べてみてください!
③Vybz Kartel - Summertime
後藤さん:夏のダンスホールレゲエでは欠かせない、本場でも大人気な曲。僕も、ジャマイカのビーチでジャークチキンを食べながら聴いていました。夏にぴったりなバイブスが上がる一曲です!