【エスビー食品×UCC】コラボレシピが完成!大地の恵みが詰まったスパイスコーヒーの裏話
毎年5月は、「世界フェアトレード月間」とされています。そこで、シリーズ65品中23品がフェアトレード認証商品であるエスビー食品の「ORGANIC SPICEシリーズ」と、コーヒーのプロフェッショナル・UCC上島珈琲の「サステナブルコーヒー」がコラボレーションし、3つのスペシャルレシピを開発しました。今回は、レシピ開発を担当したエスビー食品・岡田とUCC上島珈琲・幸田さんにインタビュー。スパイスとコーヒー、それぞれのプロたちが本気でつくりあげたスペシャルレシピの開発の裏側を教えてもらいました。
エスビー食品 マーケティング企画室 兼 スパイス&ハーブマスター・岡田佑輔(左)
日々、お客さまのニーズや食のトレンドを研究し、新たな商品の企画開発に従事。スパイスカレーをはじめとする料理が趣味で、スパイスをドリンクに取り入れることに関心があった中、今回のコラボレーションが実現。
UCCコーヒーアカデミー コーヒーアドバイザー・幸田貴枝さん(右)
日本初のコーヒー専門教育機関である「UCCコーヒーアカデミー」にて、一般のお客さまや飲食店関係者に向けてコーヒーにまつわる知識や技術を広めるセミナーを開催。趣味は、ヨガとお菓子づくり。個人で「スパイス&ハーブ検定」1級を取得。
スパイス&コーヒーの可能性をとことん追求したレシピ開発の裏側
——そもそも今回のコラボレーションのきっかけは何だったのでしょうか?
岡田 5月は「世界フェアトレード月間」ということで、エスビー食品ではフェアトレードやサステナブルな取り組みをしている企業とのコラボ企画をやりたいと考え、かねてからお付き合いのあるUCCさんにお声がけさせてもらいました。今回は、エスビー食品の公式YouTubeチャンネル「S&B SPICE&HERB TV」で、両社のサステナビリティ担当者による対談動画が公開されます。そしてその動画と連動して、2社の強みを活かしたスパイスコーヒーのスペシャルレシピをいっしょに開発することになりました。
幸田 もともとスパイスとコーヒーは、農作物として「産地の恵みをお届けしている」という共通点がありますし、私自身もエスビー食品さんが協賛しているスパイス&ハーブ検定を受けるぐらいスパイス好きです。企画のご相談を受け、張り切ってチャレンジさせていただきました。
——今回は初級〜上級編の3つのレシピを開発されたそうですが、振り返ってみていかがでしたか?
岡田 2022年の年末ぐらいから約3カ月かけて開発したのですが、正直、苦労したことを探しても思いつかないぐらい楽しかったです。と言うのも、スパイスとコーヒーそれぞれのプロなのでお互いが持っている引き出しが多くて、アイデア出しの段階からすごく活発に意見交換をしていたんです。幸田さんとは毎日メールしていて、ときには趣味の話にまで脱線して(笑)、でもそれがまたレシピ開発につながっていって……。試飲会も大いに盛り上がりましたよね。
幸田 私も、最初から最後までとにかく楽しかったです! 私、実は17年間ぐらいヨガをやっていて、そこからスパイスに興味を持ったんです。スパイスって、料理に使って香りや味わいを彩るだけじゃなく、日々に取り入れることでパワーをもらえる気がするんです。だからレシピのアイデアもポンポンと出てきて、思いつくたびに岡田さんにメールしていました。すると岡田さんは、私のアイデアをすっと理解して、合わせるスパイスの種類や入れるタイミングについて具体的な意見を返してくれるんです。打てば響くようなやり取りが楽しく、個人的にも勉強になりました。
——そんなにも楽しい開発現場だったのですね! 今回のレシピ開発において、一番大事にしていたことは何だったのでしょうか?
岡田 何よりも、お客さまに実際に試してもらいたいので「つくりやすいレシピかどうか」は最重要でした。さらに、私自身は日頃からスパイスにどっぷりと浸かっているので、感覚をなるべくフラットにして、より多くの方においしいと感じてもらえる「スパイス感」を探ることはいつも意識しています。スパイスを立たせすぎると全体のバランスが損なわれますし、スパイスを抑えすぎても中途半端な味わいになってしまうので。その上で、UCCさんのコーヒーの良さを引き出す「ちょうど良い点」を探ることに時間をかけました。
幸田 「つくりやすいレシピ」は、みなさんの家の近くにあるスーパーで手に入る食材を使うこと、そしてなるべくシンプルで難しくない調理方法であることを意識して形にしていきましたね。このほかに、個人的に大事にしていたのは「五味のバランス」です。五味とは、甘さ・酸っぱさ・辛さ・苦さ・しおからさの5つの味のこと。私は昔から料理やお菓子づくりが大好きなので、いつも頭の中には「五味を整えて風味を活かす」という考えがあります。コーヒーとスパイスはどちらも香りが重要なので、それぞれの良さは決して打ち消さずに、相乗効果を感じられるような比率に気を配りました。
岡田 その五味を整えるために、レシピにはストロベリージャムや卵といったスパイスとコーヒー以外の食材も使っています。今回、私にとって大きな気づきだったのは、スパイスとコーヒーはもちろん合うのですが、さらにほかの食材を組み合わせることで、そのおいしさが何倍にも膨れ上がるということでした。コーヒーだけではなく、スイーツにも詳しい幸田さんと一緒にレシピ開発したことで得られた気づきだったと思います。
——なるほど。具体的には、レシピはどのような流れで完成していったのですか?
岡田 まずは、初級・中級・上級編で表現したいスパイスコーヒーの大まかなイメージをすり合わせるところから始まりました。エスビー食品とUCCさんの持ち味を最大限に高め合うべく、「こういったコーヒーの使い方はどう?」「このスパイスの使い方は初級?上級?」といったようなやり取りがありましたね。
幸田 そのやりとりをもとに、次は、味の骨格となるコーヒーをUCCからいくつか提案しました。いくつか候補があった中から決まったのが、「UCC ゴールドスペシャル アイスコーヒー 無糖」(アイス)と「UCC 珈琲探究 炒り豆 モカブレンド」(ホット)の2種類。どちらもアレンジメニューに使いやすい、クセの少ないコーヒーだという点が決め手でした。
——その2種類のコーヒーをベースに、実際に合わせるスパイスを考えていったのですね。
岡田 はい。幸田さんは本当にスパイスにも詳しくて、「あれっ、エスビー食品の社員と話しているのかな?」と思うぐらいアイデア交換がスムーズで的確でした(笑)。それに骨格として選んでくださった「UCC ゴールドスペシャル アイスコーヒー 無糖」は、香りとコクがしっかりと立っていて、ミルクにもよく合う味わいでした。だから中級編の「ターメリックジンジャーアイスオレ」のように、存在感のあるジンジャーとターメリック、それらがうまく馴染むためのクッションとしてのミルク……そのすべて見事に調和するレシピが実現したんです。
幸田 そうそう! エスビー食品さんのフェアトレード認証スパイスはどれも色がきれいで香りがとても上品で、個人的には特に「ターメリックジンジャーアイスオレ」で使ったターメリックに惚れました。「アーシー」という言葉があって、これはコーヒーにも使う表現なのですが「土臭さ、大自然のような」を意味しています。一般的にアーシーと聞くと、ちょっとクセのある……どちらかと言うとマイナスのイメージがあるのですが、このターメリックには、大自然の心地よい香りを感じさせるアーシーさがあるんです。これはぜひ実際に飲んで感じてほしいです。
——初級編の「ストロベリーペッパーコーヒー」、上級編の「ナツメッグ&クローブ香る ベトナムエッグコーヒー」についてはいかがでしょう?
岡田 「ストロベリーペッパーコーヒー」は、初級編として王道スパイスであるブラックペッパーを選びました。ベースとなる「UCC 珈琲探究 炒り豆 モカブレンド」が、甘い香りとフルーティーな味わいが特徴ですので、ブラックペッパーを効かせることで、味わいの輪郭がよりはっきりとしてまた違った良さを感じられると思います。
幸田 ストロベリージャムを入れたのもポイントですよね。ストロベリーとブラックペッパーを合わせたジャムやお菓子をたまに目にすることがありますが、この2つはもともと相性がいいんです。ドリップコーヒーに混ぜるだけだから簡単ですし、コーヒー本来の甘さとストロベリージャムの甘さがマッチして、この一杯でスイーツとカフェをまとめて楽しめるアレンジになっています。
岡田 「ナツメッグ&クローブ香る ベトナムエッグコーヒー」は、誕生日や記念日などの特別な日にも飲みたくなるようなリッチさを意識しましたが、たとえば自分へのご褒美にちょっといいお菓子を買ったときにもおすすめです。コーヒーのコクや心地よい苦味をこっそりと底上げしているのが、エッグソースに入っているクローブです。本来は比較的個性的な風味のスパイスなので、コーヒーに直接加えると風味が主張し過ぎてしまいます。そこで卵黄と一緒に先に混ぜることによって、カラメルのような優しい風味を演出しました。スパイスはあくまで脇役に徹し「飲んでも存在に気づかない。でも、なんかおいしい」と思わせる役割を果たすのがスパイスの上級使い。まさに、それを体現したレシピです。
幸田 エッグソースは、カスタードクリームのような濃厚さが魅力で相性のよいナツメッグやクローブが良いアクセントになっています。レシピではカフェオレに仕上げていますが、牛乳を抜いてブラックコーヒーとして楽しむのもおいしいですよ。卵をたっぷりと使ったカステラやスポンジ系のケーキを一緒に召し上がると、エッグソースとの相乗効果をより一層感じてもらえると思います。
——おうちでのカフェタイムがちょっと優雅なひとときになりそうですね……! 最後に、今後エスビー食品とUCCさんでチャレンジしてみたいことを教えてください。
岡田 そうですね。もしまた同じような企画があったら、次はフレッシュハーブを使ったアレンジコーヒーをいっしょに考えてみたいです。ハーブって、買った後に使いきれなくて冷蔵庫の中でしおれてしまっていた…なんてことありませんか?(笑)余っているハーブをたっぷり使ったカフェドリンク……また夢が広がります。
幸田 今回のレシピ開発では実現しなかったアイデアもまだまだたくさんありますもんね! あと岡田さんとは、リアルイベントでも何かご一緒できたらうれしいです。私が担当しているコーヒーアカデミーでのセミナーなどに来ていただいて、たとえば「世界史から紐解くスパイス×コーヒーの歴史」とか。スパイスとコーヒーが見せる新しい世界を、もっと多くの方々に伝えていきたいですね。
スペシャルコラボレシピの材料&手順
初級編「ストロベリーペッパーコーヒー」(ホット)
【1】
モカブレンド を少し濃いめにドリップやカフェプレス等で淹れておく。カップに、ストロベリージャムとブラックペッパー(パウダー)を入れる。
【2】
1に、コーヒーを注いで混ぜる。
中級編「ターメリックジンジャーアイスオレ」(アイス)
【1】
コップの中に牛乳を入れ、ターメリック、ジンジャー、ガムシロップを加えて混ぜる。
【2】
1のコップに氷を入れ、アイスコーヒーをカップに注いで混ぜる。牛乳とコーヒーのカフェオレ比率は、1:1を目安にお好みで調整。
上級編「ナツメッグ&クローブ香る ベトナムエッグコーヒー」(ホット)
【1】
小さめのボウルに卵黄、砂糖、クローブを入れ、泡立て器で少し白っぽくなるまで泡立てる。
【2】
モカブレンドをカフェプレスで淹れておく。レンジや手なべ等で60〜70℃程度に温めた牛乳に、2のコーヒーを注ぐ。牛乳とコーヒーのカフェオレ比率は、1:1を目安にお好みで調整。
【3】
2の上に、1のエッグソースを大さじ2~3ほど乗せ、その上にナツメッグを振る。
使用したスパイス&コーヒーはこちら
・S&B ORGANIC SPICE 有機ブラックペッパー(パウダー)
・S&B ORGANIC SPICE 有機ターメリック<うこん>(パウダー)
・S&B ORGANIC SPICE 有機ジンジャー(パウダー)
・S&B ORGANIC SPICE 有機クローブ(パウダー)
・S&B ORGANIC SPICE 有機ナツメッグ(パウダー)
※ナツメッグはフェアトレード認証商品ではありません
・UCC ゴールドスペシャル アイスコーヒー 無糖 1,000ml
・UCC 珈琲探究 炒り豆 モカブレンド
UCC上島珈琲のWEBマガジン『UCC COFFEE MAGAZINE』でも今回のスパイスコーヒーレシピについて紹介中です!記事はこちらから。
文:エクスライト/撮影:大崎あゆみ