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本場で磨いたプロの技に学ぶ!本格麻婆豆腐をおうちでつくろう

暑いと思っていたら急に涼しくなったり、気をつけないと体調を崩しそうな季節の変わり目に、麻婆豆腐はいかがでしょう。今回は本場で四川料理を学び、日本に広めている井桁良樹シェフに、おうちでできる本格レシピを教えてもらいました。ご家庭で楽しめる本格的なシェフの味は必見です!

井桁シェフは、日本で中華のシェフとして活躍するも、さらに探求のため四川料理の本場成都で修業を重ね、帰国後「中國菜 老四川 飄香」をオープン。2000年の歴史を持つ四川料理の奥深さを日本に伝えています。

レシピを教えていただく前に、四川料理についてお聞きしました。

「真っ赤で辛いのが四川料理」ではない?

――四川料理は何よりも「辛い」というイメージです。

本場の味は本当に辛い。辛いものは食べ慣れていたはずの私自身でも、修業のために四川省の成都に着いた初日からおなかを壊したほどです(笑)。ただ辛さは豊かな四川料理のほんの一面。相性のよい山椒と唐辛子を利かせた料理は確かに多いですが、実はもっと様々な香辛料と料理があるんです。

成都には東京ドームよりも広い市場があって、香辛料も様々な種類が売られています。中には初めて見る香辛料もありました。昔も今も、中国中、世界中から集まってくるのです。また市場には、プロが出入りする卸しエリアだけでなく、一般の方も入れる小売のエリアもあり、多くの人々がその日の食材を買い求めに来ていて、それはとても活気がありました。レストランで作る料理だけでなく、生活の中にも香辛料が根付いています。香辛料は四川料理になくてはならない存在です。

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――四川料理で香辛料をふんだんに使う理由はなんですか?

四川省は湿潤な盆地。1年のうち240〜50日は太陽が出ていないと言われるほどで、たいていどんよりくもっています。また、どこの盆地もそうであるように、夏は蒸し蒸しと暑く、冬は底冷えする寒さ。こうした気候でも元気に過ごせるように、香辛料を生かした料理が生み出されていったと考えられています。

――医食同源ですね。他にも四川料理の特徴はありますか?

新しい食材を取り入れて我が物にしていく柔軟性もその一つかもしれません。もともと唐辛子は中国にないものでした。それが南米から伝わり、ほどなく四川料理にはなくてはならない存在になりました。

他にも、だしを取るためにスープを煮込む際、セロリやニンジンなどの西洋由来の香味野菜を入れるようになりました。確立した伝統がある一方で、おいしさを追求するための創意工夫が今も続けられています。これもおもしろいところだと思います。

――四川料理を代表する一品、麻婆豆腐を作る際のポイントはなんですか?

麻辣燙整酥嫩鮮香」という八つの言葉がよく知られています。花椒の痺れ、唐辛子の辛さ、熱々さ、豆腐の形が整っていること、牛肉が香ばしく炒めてありサクサクに近い食感であること、豆腐の柔らかさ、牛肉や豆豉や豆板醤などの旨味、そして香辛料の香ばしさ。これらがすべてそろっておいしい麻婆豆腐だという考え方です。この鉄則は飄香でも同じです。

お店の麻婆豆腐は麻(痺れ)と辣(辛さ)ともにバランスよく感じられる本場の味わいに仕上げますが、今回のオリジナルレシピはご家族みんなで食べられるマイルドな仕上がりにしました。

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いざ、本格麻婆豆腐レシピ!

今回の作り方は飄香とまったく同じ手順とのこと。一つひとつの工程ごとに、丁寧にポイントを教えてもらいましたよ。一方で、ご家庭での作りやすさやご家族で召し上がることを考えて、材料についてはオリジナルのアレンジを考えていただきました。もちろん手に入りやすいものばかり。やらないという選択肢はありません。比較的マイルドな仕上がりなので、辛さがお好きなら小学生のお子様でも食べられるのでは。

〈材料〉 2人分
絹ごし豆腐 1丁300g
牛挽肉 100g
調味料
 李錦記 豆板醤(チューブ入り) 大さじ1
 生姜みじん切り 小さじ1 ※S&B本生生しょうがの場合 長さ2cm
 ニンニクみじん切り 小さじ1 ※S&B本生生にんにくの場合 長さ2cm
 李錦記 甜麺醤(チューブ入り) 小さじ1
 李錦記 オイスターソース  大さじ1
 紹興酒 小さじ2
 醤油 小さじ1
 李錦記 鶏丸ごとがらスープ 小さじ1と1/2 ※180mlのお湯に溶かして使用
葱みじん切り 大さじ3
水溶き片栗粉 大さじ1
S&B花椒 適量

〈作り方〉
1.豆腐をカットして1.5㎝の角切りに。それをボウルに入れ、沸いたお湯をヒタヒタに注ぎます。

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〈ポイント解説〉
本場は木綿豆腐ですが今回はつるっと食感の良い絹をチョイス。
豆腐を温めようと火にかけておくと「ネギ刻んでなかった!」「しょうがどこだっけ?」などと少しあたふたするだけで、気づけば豆腐同士くっついてしまったなんてことも。ボウルで温めることでそんな失敗を防げます。また煮すぎてすが入ってしまったなんてこともなくなりますよ。

2.フライパンに油大さじ2を熱します。

〈ポイント解説〉
実は、ちょっと多いかなと思うくらいの方がおいしく仕上がります。(ちなみにお店では大さじ3入れます。)

3.まずは弱火で挽肉をほぐすイメージ。ほぐれてきたら中火にし、油が澄み切るまで炒めます。

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〈ポイント解説〉
挽肉は本場でも飄香でも牛肉を使っていて、これも本格感を出すポイントです。
今回のレシピでは、ご家庭でも実践しやすいように炒める目安は油が澄み切るまでとしていますが、プロは「サクサクの食感になるまで炒める」そうです。

4.牛肉に火が通ったら豆板醤を入れて炒めます。

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〈ポイント解説〉
入れてさっと混ぜて次の材料へ、ではなく、豆板醤はよく炒めて香りを引き出します。焦げ始める手前が一番風味が感じられます。豆板醤の赤みが少し黒くなるぐらいが目安です。

5.生姜とニンニクのみじん切りを加えて、香りが出てくるまで炒めます。

6.甜麺醤を加えます。こちらは軽く炒めるのでOK。そしてオイスターソースを加えて炒めます。オイスターソースも少し香りを出すくらいに炒めます。

〈ポイント解説〉
本来、四川料理では麻婆豆腐にオイスターソースは入れませんが、丁寧に丸ごとの鶏で鶏がらスープをとって……なんてお店じゃないとできませんから、今回はうまみを足す方法として活用しています。

7.醤油、紹興酒(なければ日本酒でも)を加えます。鍋でジュッ!と、いい香りが立ち上ります。

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8.180mlのお湯に顆粒の鶏がらスープを溶かして、鍋に加えます。さらに、豆腐のお湯をざるで切って鍋に加えます。弱火で1分煮込みます。

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〈ポイント解説〉
火が強いと豆腐にすが入り、せっかくのなめらかな食感がなくなってしまうので注意。

9.葱のみじん切りを加え、大さじ1の水で溶いた片栗粉でとろみをつけます。

〈ポイント解説〉
片栗粉を入れたらダマにならないようにすぐおたまを動かします。このときおたまは丸い面で押すだけ! 引いてしまうとお豆腐が崩れてしまいます。

10.ラストは強火で20秒加熱。器に盛って、お好みの量の花椒をふりかけてできあがり。いい香り!

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〈ポイント解説〉
最後にガッと強火で加熱することで、口に入れた時に油っこさを感じない、お店の麻婆豆腐ような仕上がりになります。

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香辛料の世界は、まだまだ広い!

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――四川料理はとっても香りにこだわりがありますね。

たとえば油に香辛料の香りを移す技が極められていて、ラー油であれば、唐辛子を焦がすくらい加熱して、そこに熱々の油をかけて作るのですが、このとき油の温度が低いと赤いだけで、風味としては生煮えのようなラー油になってしまいます。そのため最適なのは250度の高温の油でつくらなければなりません。

また、乾燥している香辛料は一度水に戻してから油で炒めて香りを移します。水で戻す一手間で香りの引き立ち方が全然違う。
こうした技法からも、いかに香りを立たせるかという強いこだわりを感じます。

それから、四川省の重慶発祥の火鍋。現地では15〜30種類もの香辛料を入れます。好みに合わせてブレンドすることで、辛いだけでなく、より深い味わいになります。

他の定番料理でも香辛料のバランスによって料理の風味が全然変わりますし、まだまだ奥が深いですね。

――今日はありがとうございました。


四川料理の本場に飛び込んでいった井桁シェフにお話をうかがうと、豊かなスパイスの世界が広がっていました。そこで得た経験を分けていただくことで、おうちごはんの豊かさにもつながっていくと思います。
なかなか旅行はもちろん外出も気を使う今ですが、おいしいものの力を借りながら、心も体も元気に過ごせるといいですね。

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スパイス&ハーブレシピまとめ
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