じっくり焼いて、旨みを引き出す「菜の花とマスタードシードのぷちぷちソテー」#旬とスパイス
年末ごろから野菜売り場に並び始める菜の花。わたしはこの菜の花が子供の頃から大好き。お漬物やおひたしが食卓に並ぶと、いつも独り占めするように食べていました。
高校生になった時のことです。イタリア料理のお店で食べた菜の花のパスタがあまりにおいしくて、家でもいろんな調理法で菜の花を味わうようになりました。
茎のところはアスパラガスのようにほっくり瑞々しく、蕾のきゅっとした歯触りとの違いも楽しい。ほろ苦さと甘味が共存するのも、菜の花の魅力の一つです。
菜の花にスパイスを合わせるのなら……そこで思いついたのが「マスタードシード」。もともと、菜の花もマスタードシードも「アブラナ科」の植物です。マスタードシードのプチプチとした食感と菜の花を組み合わせたい。そう思って試作を重ねたら、予想以上においしいお料理ができました!
至極簡単、味付けはお塩だけ。
秘密はたっぷりのオリーブオイル。菜の花とマスタードシード、どちらの魅力も引き出しましょう。
菜の花は調理前に水に挿しておきましょう。水分が行き渡り、しゃっきり元気になります。
「菜の花とマスタードシードのぷちぷちソテー」
菜の花を洗い、茎の乾いた部分を切り落とし、水気を押さえるようにしてキッチンペーパーでよく拭き取ります。
フライパンに菜の花を並べ、中火で熱し水気を飛ばすようにさっと素焼きします。
葉の部分は広げるように置きます。
オリーブオイル大さじ1と1/2をフライパンに入れてこんがりするまで焼き付けます。
裏返すタイミングでフライパンの中央を空けて、オリーブオイルの残り大さじ1/2とマスタードシードを入れて、その上に裏返した菜の花を被せます。
マスタードシードは熱するとパチパチ弾けるので、菜の花でカバーをする作戦です。
素揚げのようにじっくりソテーしていきます。
菜の花がだんだんこんがりして、強い焦げ目がつくまでじっと我慢。あまり動かしません。
蕾の膨らみが少し無くなり葉がパリッとしたら完成の合図です。火を止めて、全体に強めにお塩をふり、マスタードシードが全体に行き渡るように、軽く和えましょう。
ざっくりとした食感の葉の花にプチプチマスタードシード。塩だけの味付けなのに旨味が濃く、オイルを吸った菜の花のおいしいこと…!味見が止まりません!
器に盛り付けて出来上がり。
緑色が美しい。
あと1品にもとても便利ですが、菜の花の一番好きな食べ方です。焼き付けることで、元々の菜の花のほろ苦さより香ばしさが引き立ちます。
マスタードシードの辛味はほぼ気にならないほど。プチプチした食感や爽やかな香りが印象的です。
これはおいしい!と食事の前に、味見で食べ切ってしまった一皿。ぜひ春の味を楽しんでください。