スパイシーな甘い香りが秋の果物を引き立てる「柿とクローブの生ジャム」「柿とレバーのバルサミコソテー」#旬とスパイス
いちじくにぶどうに、梨。秋が近づくと果物売り場は、旬を迎えた果実が所狭しと並びます。ひとつの果物にもたくさんの種類があり、眺めているだけでもなんとも楽しい気持ちに。
今回、私が選んだ旬の食材は柿です。まだ出始めのさくりとした歯触りの時、皮だけでようやく姿を保ちとろとろと熟し切った時、どちらにも目がありません。
柿の濃厚な味は、きっとスパイスにも合うはず。甘い香りを合わせたくて、クローブを選んだらこれが大正解!ほんのり渋みを感じるクローブは柿を洗練した味に変化させます。
作り方は簡単。レモン汁と一緒にお砂糖と漬け込むだけ。柿はお砂糖でどんどんとろけていくので、火を通さず極上の「柿とクローブの生ジャム」ができるんです。
「柿とクローブの生ジャム」
柿を洗いよく水気を拭き取ります。皮を剥いて、ヘタを切り落とします。
(種あり柿を使う場合は種も外してください)
5mm程度の銀杏切りにします。
あとは保存容器に、柿、クローブ、お砂糖、レモン汁を入れて、よく混ぜるだけ。お砂糖の量は、柿の甘さと食べ比べながら調整してみてください。
お砂糖が溶ければ、すぐに食べれます。3時間ほど置くと、クローブの香りがまわってさらにおいしいですよ。
バケットに、厚切りにした有塩バターと一緒にたっぷり載せると、もう至福。柿とバターの相性の良さに、ふわりとクローブの大人の香り。
クローブは噛むと苦味や渋みを感じるので、取り除いてから召し上がれ。
「柿とレバーのバルサミコソテー」
そして、もう1品。この生ジャムを使って「柿とレバーのバルサミコソテー」を作りましょう。
これがもう絶品。なんともいえないおいしさなのです。
レバーを2〜3cmほどの大きさに切り分けます。ハツがくっついていたら白い脂肪を取り、包丁で切れ目を入れて開き、血の塊をとります。流水でよく洗います。
ボウルに水を張りぐるぐると洗濯機のように水流を作りながら洗いましょう。血の塊を出すようにします。
何度か水を変えて綺麗になったら、お塩を振ります。
また濁った汚れが出てくるので、水を変えながら綺麗になるまで洗いましょう。
水気を切って、キッチンペーパーでさらに水気を拭き取ります。
バター、にんにくの薄切りをフライパンに入れて、弱火で火を通します。にんにくの甘い香りが立ったら、レバーを入れ、全体が白っぽくなるまで裏返しましょう。
クローブを取り除いた柿ジャムとバルサミコビネガー、塩2つまみを入れ、火加減を中火に切り替え、中心部まで火を通していきます。どんどん煮詰めていきます。
へらなどで返しながら、水分がなくなるまで煮詰めたら出来上がりです。
味見して、塩が足りなかったら足しましょう。
出来立ては、ちょっと不思議な味。粗熱が取れると、全体が馴染んでぐっとおいしくなります。
柿とクローブとレバーなんて想像がつかない味ですよね。でもこれがすごくおいしいんです。我が家では取り合いになっちゃうほど。今回も作ってテーブルに置いていたら、いつの間にか子供たちに全部食べられちゃっていました。
昔、親戚の家に大きな柿の木があり、秋になると袋いっぱいにおすそ分けしてもらうことが秋の楽しみでした。
その時にできたのがこのお料理。
フォアグラに干し柿の組み合わせはよくあるので、レバーと柿を合わせてみたのがきっかけです。
柿のフレッシュでいて濃い甘みと、バルサミコビネガーが合わさり、煮詰めていくと、レバーに負けない強い味のソースができます。今回クローブも加わったことによって、例えるなら少しウスターソースに近い味わいになりました。
旬の果物を、スパイスの力でさらにおいしく。
秋の夜長に虫の声を聞きながら「柿とクローブの生ジャム」を手作りすると、心もほっと満たされて贅沢な時間に感じられます。