【炊飯器で】とろとろ「中華粥」を作ろう!おかゆ研究家が教える、絶品おかゆレシピ
空腹は最高のスパイスという表現がありますが、「寒さ」が最高のスパイスになるとっておきのお料理があります。それは中華粥です!
日本語ではおかゆを「食べる」と言いますが、中国ではおかゆを「飲む」と表現します。ぽってりもったりとした日本のおかゆの口当たりを標準と思っていると、さらさらとろとろな中華粥は目からウロコといいますか「これもおかゆなのか!」とかなり衝撃を受けます。
それでもって、旨味がしっかり。日本のおかゆは薄味のものが多いですが、中華粥を食べると「うまっ!」とその旨味に驚きます。スパイスやハーブの取り入れ方も上手で、日常的におかゆを食べる方も多い中国では、具材たっぷりで食べ応えのあるおかゆのバリエーションが豊かなようです。
口当たり、味以外にも大きな違いがあります。それは、ものすご〜〜〜く時間をかけて作ること。
とある中華料理店のシェフに教えていただいた作り方は、なんと完成まで5時間以上。お米を炒めてから、長時間ぐつぐつぐつぐつ大鍋で煮込み、さらに別鍋で鶏がらや貝柱でスープを作って、そのスープでおかゆを割って……と作りこむのだそう。そうなんです、残念ながら正統派中華粥を家庭で作るのはなかなか現実的ではありません。
そこで、そこでです。登場するのが「炊飯器」です!
お持ちの炊飯釜に「おかゆ」という目盛り、ついていませんか?
今回は炊飯器の「おかゆモード」を使って作る、とろっとろが自慢の旨味たっぷり中華粥をご紹介いたします。
(おかゆモードがない方も、お鍋で作る方法を一緒に紹介するのでご安心くださいね)
「おかゆモード」でそのまま作ったおかゆは「The 日本のおかゆ」という感じのぽってりした口当たりなのですが、2つのポイントで中華粥に大変身します!
ひとつめのポイントは「ごま油をお米に絡めて炊くこと」。もうひとつは「おかゆを鶏丸ごとがらスープで割ること」!
正統派中華粥の作り方の要所を押さえているからこそ出会える、とろっとろ〜! で、ウマウマな中華粥。晩ごはんの主役級のおいしさです。せっかく炊飯器を使うならとことん手軽にしよう! ということで、今回は包丁とまな板を使わないレシピを3つ紹介します。
とろとろ、ウマウマ、らくらくな中華粥を、一緒に作っていきましょう!
基本のとろとろ中華粥
今回ご紹介する3つのおかゆに共通する材料と作り方です。
この「基本のとろとろ中華粥」に、このあとで紹介する<具材>を追加して一緒に炊くことで、旨味たっぷり主役級の中華粥になります。
【 作り方(調理時間:約80分) 】
1. 研いだ米を炊飯釜に入れる。ごま油小さじ1/2を入れて全体を絡めるように混ぜる。
2. おかゆモードの目盛りまで水を入れる。<具材>を入れて、炊飯スタート!
3. 炊き上がったら鶏丸ごとがらスープ小さじ1、熱湯200mlを入れる。全体の水分が均一になるようによく混ぜる。塩で味をととのえる。
4. 保温モードのまま5分間蒸らす。盛りつける前にひと混ぜして、完成!
※ お鍋で作る場合(調理時間:約60分) ※
1. 研いだ米を深みのある厚手の鍋に入れます。ごま油小さじ1/2を入れて全体を絡めるように混ぜます。
2. <具材>、水800mlを入れて中火で煮込みます。お鍋が沸いたら、お米がぐるんぐるんと対流する火加減で30〜40分ほど煮込みます。途中、水分が減りすぎてしまった場合は熱湯を加えます。
3. 炊き上がったら鶏丸ごとがらスープ小さじ1、熱湯を入れ好みのとろみに仕上げます。全体の水分が均一になるようによく混ぜて、塩で味をととのえます。
4.フタをして5分間蒸らします。盛りつける前にひと混ぜして、完成!
まずはひとつめ、「基本のとろとろ中華粥」を使ったイチオシのおかゆレシピの中で、より詳しい作り方をご紹介しますね。
1、とろとろコリコリ『鶏軟骨の中華粥』
おいしい鶏肉のおかゆといえば、やっぱり骨つき肉がおすすめ。でも、骨つき肉って手が汚れるし、小さい子は食べるのがむずかしいし……そこで登場、鶏軟骨! 骨つき鶏肉の旨味はそのままに、まるっと食べられるのが魅力です。なにより、とろとろ〜なおかゆに、コリコリッ! の歯ごたえ、二つの食感の違いを楽しめて、たまらなくおいしいです〜…!
①お米1/2合を研いで炊飯釜に入れます。ごま油小さじ1/2を入れて全体を絡めるように混ぜます。
これがひとつ目のポイント「ごま油を絡める」です。ごま油を計量した小さじスプーンで混ぜ合わせると洗い物が少なくて済みます。
ちなみに、おかゆモードでの炊飯はお米の内側までしっかり水分が入るため、浸水は不要です。
②おかゆモードの目盛りまで水を入れ、<具材>のヒザ軟骨、ねぎ、おろししょうがを入れて、炊飯スタート!
炊飯時間はわが家の炊飯器では70分ほど。時間はかかるけれど、火加減をみなくて良いのはありがたいですね。
ねぎの青いところとおろししょうがは臭み消しの役割。キッチンバサミでカットするとラクです。細かく斜めにカットしてねぎを具としていただくのもおすすめです。
③炊き上がったら鶏丸ごとがらスープ小さじ1、熱湯200mlを入れます。全体の水分が均一になるようにやさしく混ぜます。塩小さじ1で味をととのえます。
ここで、ふたつ目のポイント「おかゆをスープで割る」! とろとろ〜の秘訣です。じゅわ〜〜っと食欲をかきたてる香りがキッチンに広がります。
④再びフタをして、保温モードのまま5分間放置して蒸らします。最後にひと混ぜして、完成です!
蒸らし時間でおかゆの水分が均一になって、ふっくらおいしく仕上がります◎
トッピングには五香粉、クコの実を。
「五香粉(ウーシャンフェン)」は、お魚やお肉との相性がすこぶるよく、五香粉をササッとかけると途端にこなれた雰囲気に仕上がります。
そして「クコの実」のかわいらしい甘みは、おかゆのアクセントになります。そのままでも食べられますが、水やぬるま湯に浸してやわらかくした方がおかゆの食感に馴染みます。
おかゆの蒸気にのって漂う香りがお見事! ポタージュのようなとろっとろの口当たりと鶏軟骨のコリコリ。たまらんですねえ〜……!
ちなみに、生米1/2合分の中華粥はラーメンどんぶり1杯分。お茶碗だと2杯分。重量でいうとなんと500gを超えます。
炊飯器に材料を入れた時は「え〜……こんなちょっとで大丈夫……?」と不安になるかもしれませんが、おかゆはとっても膨らむということを念頭に、作りすぎにはご注意くださいね。
中華料理屋さんのように大きな器にど〜んと盛りつけて、食卓で各自お椀によそう形式もおすすめです◎ パーティーやおもてなしにもぴったりです。
2、 ほたて缶を使って『ほたてのスパイス粥』
ほんのり甘い風味が大人も子どもにも人気のほたて。缶の汁もまるっと入れることで、お米にほたての旨味がぎゅ〜っとおかゆに染み込みます。味のキーとなるのは「ターメリック」と「クミンシード」。華やかな香りに包まれて、ひとくち、またひとくち……と止まらなくなるおいしさです。
①お米1/2合を研いで炊飯釜に入れます。ごま油小さじ1/2を入れて全体を絡めるように混ぜます。
②おかゆモードの目盛りまで水を入れ、<具材>のほたて缶、おろししょうがを入れて、炊飯スタート!
ほたて缶は汁もまるっと入れるのがポイントです。
③炊き上がったら鶏丸ごとがらスープ小さじ1、熱湯200mlを入れます。全体の水分が均一になるようにやさしく混ぜます。塩小さじ1で味をととのえます。
④再びフタをして、保温モードのまま5分間放置して蒸らします。最後にターメリック、クミンシードを入れてひと混ぜします。<トッピング>の小ねぎ、バターを入れ、ブラックペッパーを振ったら、完成です!
「ターメリック」は少量を風味づけ程度に使うと、旨味に深みを出して他の食材の旨味をぐぐっと底上げしてくれる、不思議なスパイス。「クミンシード」の噛んだ瞬間にふわっと広がるエスニックな香りがこのおかゆのおいしさのキモです。
ターメリックがベース、クミンがドラム、そしてギターボーカルがほたて缶。華やかなハーモニーを奏でるメンバーが揃いました!
さらにおかゆを盛りあげるトッピングのバター、小ねぎ、ブラックペッパーはお好きなだけ。特にブラックペッパーは挽きたてをたっぷりとのせるのがおすすめです!
はじめにくるほたての甘み・旨味の後に、スパイスたちの深み。おかゆの熱でとろ〜んとバターがとろけて絡みます〜…!
スパイスが入ることでほたてとお米の甘みが際立ちます。ペロリとごちそうさまでした。
3、 クローブ香る『牛肉のおしゃれ粥』
お肉の下味にクローブを使用すると、いつもとはひと味違うおっしゃれ〜なお味に大変身。洋食屋さんのビーフシチューやハンバーグの隠し味として使われることもある甘くてスパイシーなクローブは、牛肉と合わせると、隙なしのおいしさです。
①お米1/2合を研いで炊飯釜に入れます。ごま油小さじ1/2を入れて全体を絡めるように混ぜます。
②牛バラ肉の下味をつけます。
塩小さじ1/2程度、クローブはスパイスの瓶を「トントントン」と3回くらい叩いて出てくる量が適量です。もみもみもみと揉み込んで下味完了です。
③おかゆモードの目盛りまで水を入れ、<具材>の下味をつけた牛バラ肉、ローレルを入れて、炊飯スタート! お肉を入れるときにお肉を広げるようにして入れると、ボリュームが出て豪華にみえます◎
④炊き上がったらローレルを取り出し、鶏丸ごとがらスープ小さじ1、熱湯200mlを入れます。全体の水分が均一になるようにやさしく混ぜます。塩小さじ1で味をととのえます。
⑤再びフタをして、保温モードのまま5分間放置して蒸らします。最後に<トッピング>の小ねぎ、チーズ、レモンをのせ、ブラックペッパーを振ったら、完成です!
見るからに牛肉の旨味がしみわたっていますよね〜! 牛肉ブラウン!
こってり味のおかゆなので、レモンで爽やかな香りをプラスして。
「肉だ〜〜〜!」と叫びたくなるような牛肉の深い香りがたちこめます。下味に使ったクローブは、まさに隠し味。おいしさを格上げしてくれています。
以上、3つの中華粥をご紹介しました。
ふーふー、はふはふ。とろとろ〜! が幸せな、炊飯器で作る中華粥。自分へのご褒美に、ご家族との団らんに、ぜひ作ってみてくださいね。
今回のレシピ、文章、撮影:鈴木かゆ(おかゆ研究家)