倍量作ってストックしてほしい!この夏、何度も作りたくなる、麻辣ごまだれの冷やし中華【盛り付け解説も】
皆さん、今年も冷やし中華はじめましたか??
みずみずしい夏野菜をどっさりのせて、キンキンに冷えた細麺に甘酸っぱいタレを絡めて頬張ると、「ああ夏が来たなあ」と感じます。冷やし中華万歳!!
ところで、冷やし中華はネーミングこそ「中華」と付いているものの、ナポリタン同様、日本生まれの料理。昭和初期に今の冷やし中華の原型が誕生し、日本の夏の国民食として定着したそうです。
そのため、冷やし中華は中華と言えども日本人好みの優しい味付けとなっているのですが、大の中華好きである私は本格中華スパイスを使った冷やし中華も食べてみたくなり、中国のスパイス「花椒」と「五香粉」をたっぷり使った、ビリリと痺れる麻辣ごまだれの冷やし中華を生み出してしまいました!
四川料理に欠かせない「花椒」は、脳天を貫くような鮮烈な香りと、ビリビリと舌を刺激する痺れが特徴。この唯一無二の風味には猛烈なやみつき性があり、私はすっかり花椒無しでは生きられない体になってしまいました。
花椒は、麻婆豆腐や坦々麺はもちろん、砕いて中華風のカルパッチョにふりかけたり、唐揚げと一緒に揚げたり、炒め物に入れたりなど、色々な料理に使えます。
そして、今回は花椒に加えて、中華のエッセンスをもう一つ。「五香粉」(ウーシャンフェン)は、フェンネルやシナモン、花椒、クローブ、陳皮などの5種類のスパイスがブレンドされた、香り豊かな中国のミックススパイス。
揚げ物にふりかけたり、お肉を煮るときに加えたり、肉や魚の下味に使ったりなど、少量加えるだけでいつもの料理が本場中華の味に様変わりする、魔法のようなスパイスです。
この2つがあれば、いつもの冷やし中華が本場中華の味に大変身します!!
麻辣ごまだれの冷やし中華
冷やし中華は、ハムやチャーシュー、蒸し鶏など、何かしらの肉類をトッピングすると、旨味が加わってグンと美味しさが増します。今回はパンチのあるタレに合わせて、適度に脂の乗った豚肩ロースの薄切り肉を使います!
湯がいてしゃぶしゃぶしていただくのも良いですが、今回は手軽で美味しい「レンチン酒蒸し」で、しっとり柔らかく加熱していきます。
電子レンジにかけられる大皿に、なるべく重ならないように豚肉を並べ、塩をふります。
酒としょうがはあらかじめ混ぜてからふりかけましょう。
お皿を軽く揺らして酒をまんべんなく行き渡らせたら、ふんわりとラップをかけて、600Wの電子レンジで1分加熱します。
一度取り出し、肉を軽くほぐしたら、さらに30秒加熱します。
完全に火が入る前にほぐすことで、豚肉同士がくっつくのを防ぎます。
加熱した豚肉は、冷ましつつも水分が飛ばないように、軽くラップで覆った状態で置いておきます。
その間にタレを作っていきましょう。
フライパンに花椒を入れて中火にかけ、香りが立つまで乾煎りします。軽く煎ることで花椒の香りがグンと引き立ちます!
花椒はパウダーで代用してもOKですが、やはりホール花椒の方が、香りや噛んだ時の「ビリリ」とした刺激が鮮烈です(パウダーを使う場合は、煎る必要はありません)。
煎った花椒はすり鉢に移し、火を止めます。
同じフライパンに五香粉を入れて薄く広げ、余熱で加熱し、香りを立たせます。
花椒同様、五香粉も軽く火を入れることで香りが活きてきます。
五香粉を温めている間に、花椒をすりましょう。
これくらい細かくなればOKです。
ここに香りの立った五香粉を加え、(A)の調味料を加えます。
さらに(B)の醤油と酢を加えるのですが、一気に加えるとねりごまが上手に溶けないため、少しずつ加え混ぜましょう。
ここに、蒸し豚から出た肉汁を加えます。茶こしで濾すと、アクが綺麗に取れますよ。
なお、タレ単体で別の料理にアレンジする場合は、<大さじ2の水+小さじ1/2の鶏ガラスープの素>で代用してください。
タレが完成しました!
盛り付け方法
さあ、いよいよ仕上げに入ります。
麺を茹でるためにたっぷりのお湯を沸かしながら、野菜を切っていきましょう。
トマトは1/2個を6等分〜8等分に切ります。そのまま食べる時よりも薄めに切ったほうが、麺との親和性が高まりますよ!
そして、きゅうりは千切りにしていきます。
まずは斜め薄切りにし、端から細く切っていきます。
パクチーは茎を2cm程度のざく切りにし、葉の部分は手でちぎると、盛り付けたときに綺麗です。
具材はバットかお皿などに並べておくと、盛り付けがスムーズですよ。
お湯が沸いたら、麺を茹でていきましょう。
茹で時間は、麺の袋に記載されている時間を参考にしてください。
ラーメンのような温かい麺と違って、冷やし麺は茹で時間を守るのが大切。硬麺好きな方でも、冷たい麺で食べるときは、茹で時間を守った方が良いでしょう。
茹で上がった麺は、流水で手早く冷やします。手でゴシゴシ揉むように洗うと、麺がプリッと仕上がりますよ。
麺がしっかり冷えたらボウルに移し、氷水で冷やします。
ザルでしっかり水けを切ったら、器に盛りましょう!
ガバッと一気に盛らず、ひとつまみずつくるくると巻きながら盛っていくと、綺麗に麺が盛れます。
麺を盛ったら、先ほどの氷も麺の周りに盛ります。
具材を盛り付ける前に、タレを少量だけ麺に垂らしましょう。
冷やし中華は盛り付けが命! 余裕があれば、丁寧に盛り付けしましょう。
具材を放射状に並べるイメージで、千切りにしたきゅうりは長さを揃えて真っ直ぐ並べると綺麗ですよ。
蒸し豚は、できれば手でほぐしてから盛り付けると、麺になじみやすいです。
また、緑のもの同士が並ぶと見た目が悪いため、パクチーはきゅうりと対角線上に盛り付けるのがおすすめ。
仕上げに具材の上にタレを垂らし、お好みでラー油(分量外)を垂らしましょう。ラー油を垂らすことで、味はもちろんのこと、美しい赤色のオイルがシズル感を演出してくれます。
中央に温泉卵をのせたら、完成です!!
よく混ぜていただきましょう!!
冷やし中華では錦糸卵を盛るのが一般的ですが、温泉卵を使うと、タレと融合してねっとりとコクのある美味しさに。これも病みつきポイントです!!
濃厚な痺れるごまだれに、シャキシャキとみずみずしい野菜、パクチーの独特な香り、ジューシーな豚肉の旨味。具材とタレのメリハリあるリズムを楽しみながら、一口、また一口と止まりません…!!
ラー油の辛味と花椒の痺れ(=麻辣)が体に染み渡り、じわじわと噴き出す汗。気づけば意識はアジアにトリップしているはず!
さらに、そんな麻辣の刺激たっぷりのタレは、アレンジも無限大。
例えば、バンバンジーのように蒸し鶏の上に垂らしてみたり。
冷奴に垂らしてみたり。
トロトロの蒸し茄子にかけても絶品です…!!
もちろん、中華麺だけでなく、うどんやそうめんとも相性抜群。
麻辣ごまダレは冷蔵庫で2週間ほど保存可能ですので、このレシピの2倍量など、たっぷり作ってストックしておくのがおすすめです。
いよいよこれからが夏本番。
今年の冷やし中華には、一歩踏み込んだ本格中華スパイスの刺激を取り入れて、夏を乗り切りましょう!!
今回のレシピ、文章、撮影:真野遥(料理家)